養子縁組11月
1月に、篠原初美さん(写真左)に分けていただいたぬか床、なんと、今度は私が分けるほう!。
築上町内の田中さんと養子縁組し、ぬか床3代で写真をとりました。養子縁組では、こんなふうに、最後にはみんな縁組した人と写真をとります。
久しぶりに初美さんにお会いでき、なんだか本当に里帰りしたみたいにうれしかった。
ぬか床をお分けした田中さんとは、ぬか床談義+よもやまばなし。「私が子どもを産んだのも、39歳よ」「えっ?そうなんですか?私もがんばります」なんて調子でもりあがりました。田中さん、うちの床は、ぬか床界のサラブレッドなんです。なんたって、神吉さんの100年床と、初美さんの50年床のミックスですから。かわいがってあげてくださいね。
ぬか床養子縁組

 「祖母の代から受け継いできたぬか床を分けるということは、
大事な子を養子に出すようなもの」。
そんなお母さんたちの思いから名づけられた「ぬか床養子縁組」も、
二回目を迎えた。古くから「ぬか漬け」の文化を守る福岡県築上町でのことだ。
 実行委員会で、床を分ける人、もらう人を呼びかけ、
今回は七組の縁談がまとまった。
自己紹介のあと、ぬか床を受け渡し、手入れの方法などを語り合う。

 ぬか床談義でひとしきり盛り上がっていると、
築上西高校家庭科クラブの高校生が、授業を終え、
床を抱えてやってきた。
「大切に守ってきたぬか床を、今度は私たちがお分けします」。
一段と大きな拍手がわき起こる。笑顔、笑顔のおめでたい日。

 かえりがけ、私のぬか床の母である篠原初美さんに、
持参した床を見てもらった。
私自身、一〇カ月前に床をいただいて以来、
泊まりがけの仕事の時には、車のトランクに積み、
長期出張では母に預けて、毎日かき混ぜてきたのだ。
「色も、香りもいい。これを漬けて帰りなさい」そ
う言って初美さんは、青く輝くハヤトウリを小さなぬか床に沈めてくれた。

(西日本新聞夕刊2007年12月2日号に掲載)