2010年05月03日

阿古真理著「うちのご飯の60年〜祖母、母、娘の食卓〜」

うちのご飯の60年ごく普通の家族の食卓から、自分と社会の関わりも見えてくる。私と同じ昭和43生まれの阿古さんの素晴らしい作品。お会いしたことはないけれど、書評を書かせていただく機会に恵まれたので紹介させていただきます。右のおすすめの品々にリンクもあります。

 食品偽造のニュース、健康食品の情報や、尽きることのないグルメ番組。あふれる情報のどれもが、自分の食事に関係してるような、ないような…。

 正直、迷いますよね。私たちはこれから何を、どう食べていったらいいのだろうと。

 著者の阿古さんが、三代にわたる家族の食生活史を書こうと思ったのも、そのような動機から。そして、彼女は母親からの聞き取りをはじめました。

 戦前、戦中、戦後と、山村で自給自足に近い生活をしてきた祖母。都会に出て就職、結婚し、高度経済成長時代の昭和43年に著者を産み、子育てをした母親。そして私たち同じく、幼いときから多様な食を享受してきた著者の体験談。

 あたたかい思い出にあふれたひとつの家族の生活史を読み進めるうちに、「ああ、うちと同んなじだ」と共感したり「こんな時代背景があったのか」とうなづいたりしながら、我が足元を振り返ることになりました。

 あるある、うちもそうだったよー、と共感する瞬間しきり。

 と同時に、今まで理解できなかった社会の変化と食生活との関係が、謎が解けるように見えてきました。

 これからも、作って、食べて(できればいつかは育てることもやって)生きていこう。

 そう思えるのは、今の自分の暮らしが、どんな時代の変化の中でも、同じように、作って、食べて、生きてきた家族の営みにつながっているのだと、
この本で気づくことができたから。

 私たちの今は、私たちだけのものではない。

 個人の生活史の普遍性と力強さを感じました。
 同じ年齢で、このような著書を残せる阿古さんを尊敬せずにはいられない。

 私には何が書き残せるだろう。誰に何を伝えられるのだろう。


morichi2005 at 06:52│Comments(0)clip!森ちリコメンド 

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