間地の地蔵さん「やっと来たね」と、地蔵さんは言った。「やっと来れました」と私。
「でも、あんたのことはなんでも知っちょる。ずっと見よったけんな。お別れに来たつかい?」

○お別れにはちょっと早いですが。お礼と、ごあいさつと、とにかくずっと会いたくて、でも会いにいけない自分がいました。

●あんたのことをお祈りしにきた人もおるよ。病気の時。あん子は昔からしっちょる。俺はこう見えて、子宝も御利益あるんだよ。

○ふふふ。

●ははは。
●丸蔵の地蔵さんのところで、すべたりこけたじゃろ。それも見よった。
あんとき、来るかと思ったけど…。

○まだ余裕がなかったです。でも、地蔵さんのところでこけたら、3年以内に死ぬる。なんて迷信もよそにはあるみたいで、こわかった。

●わははは、そげなことがあるか!
丸蔵は、まわりおおせたかい?

○おかげさまで。みなさんに親切にしていただいて、大切なことをたくさん教わりました。たくさんの言葉を心に刻み、次に伝える準備をしています。

●ここからが本番ぞ。

○はい。卒業試験と思って。長いこと住まわせていただいたのに、ここの方々に何一つできませんでしたから。

●みんな、気にもしちょらんが。ははは。
それより、最後まで任せたよ。がんばれば俺が守っちゃる。

○今までも、守ってくれていたんですね。見ていてくださっていたんですね。それは知っていたのに、なかなか来られなくてすみません。

●よかよか、しっかりやりなさい。

○今、歩いて役場に行っているからまた寄ります。それにしても地蔵さん、二枚目ですね。

●いやーそれほどでも。

○また会いに来ます。
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中津江丸蔵生活全集の聞き取りもひと通り終わり、まとめの作業に入りました。昨日今日と、職員懇談会をしながら、聞き取りの振りかえりと今後の活かし方について語りあっています。

「ここではできたけど、よそではできんやろ?」
と、みなさん。
いやいや、皆、そこであきらめてるんですよね。
私達はあきらめなかった。もうひとがんばりして、他の過疎地が「うちでもやってみよう」という体系づくり、よそでも役に立つ仕組みづくりを。
そして、この貴重な財産をどう生かすかをみんなで考えていきましょう。

今週末は中締めの打ち上げもあるらしい。