妹おにぎ写真は、東京で妹につくってあげたごはんの一例。だいぶ食欲も出てきた頃。
おにぎり工場にて

 食品の製造工程を見せるテレビ番組が増えた。
牛丼工場の製造レーンの一部始終を公開し、お客さんの口に入るまでをつぶさに見せていく。
企業秘密の工程にはモザイクをかけて気をひいてみたり。味へのこだわりや効率化のノウハウも披露され、舞台裏をのぞき見できる面白さが受けているのか。

 先日は、大手食品会社の「焼きおにぎり」工場を親子がレポートしていた。米を洗い、炊きあげ、味付けし、小分けして成形し、表面をかりっと焼いて急速冷凍するまで、見事なオートメーションだ。みるみるうちにこんがりと焼き上がる大量のおにぎりに、親子は「おいしそう!」を連発。番組の最後に、男の子が言った。「大きくなったらベルトコンベアになりたい!」大笑いした。そう思ってしまうほど、日本の工業技術はすばらしい。衛生基準もすばらしい。おいしくつくる技術も高い。

 けれどね、おばさんはひとつだけ教えたいの。テレビは伝えないけれど、おにぎりは、もともと人の手で握るものなのよ。ベルトコンベアもすごいけど、大切な人のことを思って握るお母さんの手にはかなわないかもよ。

(西日本新聞7月2日夕刊「潮風」に掲載)